「劇舎」とは?
 

「劇舎」は1981年、俳優清川元夢によって設立されました。その時の「劇舎」は清川元夢ただ一人、公演の時は制作から演出、そして役者として出演と精力的に活動していました。

清川元夢は1953年「俳優座」の6期生に高校卒業後ストレートで合格、年上の同期生たちと田中千禾夫、芥川也寸志などから指導を受け俳優座養成所を卒業。

その後、劇団「仲間」に入団、そして「仲間」を退団して「演劇座」を創立。その「演劇座」解散後は劇団「風」の人達などと芝居を続けてきました。そして「劇舎」創立に到ります。

その劇舎の第1回公演から、劇団「ぐるーぷえいと」の俳優山田礼子が、清川元夢の手助けのためスタッフとして参加します。

山田礼子は1973年、東京アナウンス学院声優科2期生として卒業、1、2期生で「ぐるーぷえいと」と結成。塩見龍介、早野寿郎に師事し、1983年、塩見、早野両氏が相次いで亡くなった後、「ぐるーぷえいと」の創立20周年記念公演であり、同時に解散公演となった1993年のさよなら公演まで、「ぐるーぷえいと」の代表と務めました。また、「ぐるーぷえいと」の全32回公演にも役者として全て出演。平成元年度には文化庁の芸術祭賞を受賞しています。

その山田礼子と清川元夢は洋画の吹替え(アテレコ)の収録スタジオで度々、顔を合わせました。今も昔も、小劇団の経営は苦しく、赤字続きのところが多いのですが、好きな舞台活動を続けていくためにはお金をかせぐ必要がありました。清川元夢も山田礼子も声優の仕事で自分のため、劇団のための収入を得て舞台活動を続けて来ました。アテレコのスタジオで何度も会ううちに芝居の話になり劇団の話になって、1981年の劇舎公演を山田礼子が手伝い、1982年には清川元夢が「ぐるーぷえいと」に客演したことから意気投合、「ぐるーぷえいと」解散まで一緒に舞台創りをして来ました。その解散の1年後山田礼子がくも膜下出血で倒れ、一命はとり止めたものの右半身不随となり、舞台どころか日常生活も不自由になりましたが、清川元夢のそれまでと変わらぬ態度、手助けもあってなんとか動けるようになり声優としては3か月後には復帰、まわりを驚かせました。しかし、役者としては立ち居振舞が自由にならないこともあって、2005年9月に復帰の舞台に立ってみたものの、自分の動きに自身が納得出来ず、自由に動けるようになるまで舞台に立たないと決意して、演出として再出発することにしました。現在も劇舎公演の演出は全て山田礼子が担当しています。

清川元夢は山田礼子を助けながら彼もまた、声優の仕事を続け、上北沢の実家にある妹、藤間玉佐保の日舞の稽古場を借りて、俳優、声優を目指す若い人達に芝居創り、舞台創りを教えて来ました。

そして、2007年中野区上高田に芝居の稽古場を借り、「劇団劇舎」をスタートさせ、その

付属養成所としてD.D.(ドリームドア)を立ち上げました。劇舎の代表は清川元夢、D.D.の代表は山田礼子になっていて、D.D.は基礎科1年、実践科1年、それを卒業すると劇団劇舎の団員になるというシステムになっています。実践科からは本公演にも出演することが出来、今回も小寺、坂本という2人のD.D.生が出演します。

清川元夢は声優としてアニメ「新世紀エヴァンゲリヲン」(冬月コウゾウ)「不思議の海のナディア」(ガーゴイル)など、また、美術番組のナレーターとしても知られています。

山田礼子はアニメ「サザエさん」(お軽、裏の老婆)「うる星やつら」(ラムのママ)、「ハイカラさんが通る」の如月役などで知られています。

また、アナウンス学院出身で山田礼子の後輩でもある氷上恭子が劇舎2度目の出演。氷上恭子は声優として「デ・ジ・キャラット」(ラビ・アン・ローズ)「サクラ大戦」(高村椿)「フレッシュプリキュア」(桃園あゆみ)などや、洋画吹替えも多数出演。

そして、「ぐるーぷえいと」で山田礼子と同期だった故・山口健の息子、山口清裕が劇舎初出演。山口清裕は声優として出発。その後フリーという形で数多くの舞台を経て現在に到ります。

伊藤佳正はもと「ぐるーぷえいと」の劇団員で劇舎第1回公演から今回まで全公演に出演。清水スミカは、劇舎のために第1回目から書き下ろしを続けている劇作家EMIの劇団リラックスの俳優。劇舎公演は2回目の出演。劇舎の劇団員は、羽賀瑛菜、増子一、佐藤奈緒子、大久保るりこが出演します。

また、スタッフとして、美術の岩崎顕二は「ぐるーぷえいと」の第18回公演「道遠からん」(1984年)から劇舎の今回の公演まで、清川元夢、山田礼子とは長いお付き合いです。音響の富田健治は劇舎第3回公演から、照明の加澤礼子は第4回公演からのお付き合いです。舞台監督の郡司和博はもと「ぐるーぷえいと」の劇団員で役者ではなく音響として現在も忙しく活動しています。今回は舞台監督として劇舎公演に参加。その他、劇団劇舎、D.D.と全員総力をあけでこの舞台に臨んでいます。


 劇団劇舎
9月
28日[金] 19:00
29日[土] 16:00
30日[日] 13:00/16:00

会場 d‐倉庫

作 EMI
演出 山田礼子

>>>「劇団劇舎」公式サイト