interview no.106 陽なた
 
陽なた
俳優・丹宗立峰が2010年に旗揚げしたミュージカルカンパニー。オリジナルミュージカルを上演しているのが特徴だが、そのほか毎回、心を前向きにさせる脚本と多彩な音楽、大舞台で活躍するミュージカル俳優が出演するとして、演劇界から密かな注目を浴びている。公演作品は『ちっぽけなタイヨウ』『オリーブ~心には花を、頭にはスクラップブックを~』『emptyrecord−からっぽ−』など。



陽なた作品、待望の再演!
ミュージカル『ちっぽけなタイヨウ』が新バージョンで帰ってくる!

「陽なた」は、俳優・丹宗立峰さんが主宰するミュージカルカンパニー。旗揚げから4年を経て、さらに進化しているカンパニーと本公演作品に迫る!
(取材・文 梶原ちゑ)


<『ちっぽけなタイヨウ』あらすじ>
最愛の妻と息子を事故で亡くし、絶望の果てに自ら命を絶とうとする男。しかし、まだそのときではないと死神に追い返された彼の隣には、一人の少年がいた。男は少年に亡き息子の影を重ねていく……。



丹宗立峰(写真左/たんそう・たつみね) 「陽なた」代表。俳優、声優、ボイストレーナー。 音楽座、劇団四季を経て現在、陽なたの主宰を務めるかたわら、ミュージカル『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』、『ラブ・ネバー・ダイ』などに出演。声優としても活躍しており、ディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』で王子役を演じている。

桑原まこ(写真右/くわばら・まこ) 作曲家。東京音楽大学作曲指揮専攻(映画放送音楽コース)卒業。『めざましテレビ2014』オープニングBGMのほか、ドラマ、CM、映画などで作編曲を担当。岩井俊二氏とのユニット「ヘクとパスカル」のメンバー。舞台音楽も多く手がけており、陽なた作品は前作『emptyrecord−からっぽ−』に続き2度目。



ミュージカル「ちっぽけなタイヨウ」は、 観客からの再演リクエストがあった作品!

    本公演はどんな作品ですか?

丹宗:今回の公演は、陽なた旗揚げ公演で上演した記念作の再演です。お客さまからの要望もあり再演となったわけですが、自分でも一番思い入れの強い作品なので、いつか再演したいと思っていたんです。作品は僕が今まで見聞きしたり、感動したり、やってみたいと思ったりしたことを芝居という形に具体化したものですから。それと、僕の考える人の有り様を表現したものでもあります。

    丹宗さんの考える“人の有り様”とは?

丹宗:大劇場で上演されるミュージカルには、あることを境に人が劇的に変わっていく話があります。それは作品としてもちろんアリですが、僕は人間の根本は変わらないと思っていて……。ただ、根は変わらずとも人は日常、些細なことで方向転換したり、傷ついたりすると思っています。こういった機微に着目した作品は、小劇場でやるからこそ観客に届くと思うんですよね。

    観ると心に何か響いてくるものがある?

丹宗:そうですね。冒頭と終わりにちょっとした仕掛けがあります。見終えたとき、何かが違うはずですよ。

初演を踏まえて、再演はすべてをアップグレード!

    初演と再演で変わるところは?

桑原:音楽がすべて変わります。作曲するにあたり、台本を読んで読んで読み込んで、この曲から書きたい!と自然に思えたものから作っているんですよ。今のところ3/5ぐらい書きましたね(9月上旬現在)。

丹宗:曲に関しては、台本を説明差し上げたあとは、ほとんど彼女にお任せです(笑)。あがってきたものが、自分の思っているものと違うのがおもしろいんですよ。作品が一色じゃなくなるというか。だから、観ている方も100人が100人とも同じ受け取り方をしなくていいと思っています。

桑原
:丹宗さんは柔軟な演出家なので、作り手としては窓を全開にして曲が作れますね。ただ“全開”といってもそこは統一性が大切ですし、言いたいことはすべて歌詞に入っているので、メロディーとコードで色をつけるように工夫して、ピアノ一本でも伝わる曲を心がけています。

    それを歌うキャストのみなさんもすごいメンバーですね。

丹宗:今回のキャストは、舞台の第一線で活躍している方に出演いただいています。ミュージカル作品でいうなら『レ・ミゼラブル』や『ラブ・ネバー・ダイ』、『ミス・サイゴン』『エリザベート』『ピーターパン』『アイ・ガット・マーマン』などなど、出演作品を挙げたらびっくりする方々です。

桑原:歌い手さんのレベルがとにかく高いんです! だからこそ曲は、必要以上に音があるのは逆効果だと思っています。

丹宗:本公演では岡幸二郎さんにも出演いただいていますが、僕の中で死神役は岡さんのイメージが強くて。オファーに際しては、「岡さんしかいないんです」と言ってお願いしたくらいです。


出演者全員、役をどう演じるのか? 毎公演、目が離せない!

    役はすべてダブルキャストとか?

丹宗:はい。AキャストとBキャストに加えて、死神役の僕や岡さん、土倉有貴さん、金子大介さんが公演ごとに出演します。毎公演、キャストが違うので目が離せない作品になりそうですが、それ以上に出演者全員が役をどう捉えて演じるのかも見どころだと思います。今回のキャストは全員、自分で問題提起をして考え、演じてくれる方ですから。僕自身もできるだけその人にしかできない役を演じてほしいと思っていますし、気持ちを優先した演出をしていきたいです。

    歌詞をみると一曲の中でも気持ちの移ろいがあるので、役作りも曲作りも大変そうですね。

桑原:そうですね。気持ちのほかに時間も動いていくので、出演者の方は捉えるのが難しい曲が多いと思います。だから曲をお渡しするときに、私は仮歌を入れて差し上げるんです(笑)。もはや、私の歌は陽なた恒例のネタになっていますが……。でも、歌ったほうが歌い手の気持ちになれますし、溜めるところやテンポが揺れるところも伝えられるんですよ。


    演出、音楽、役作りなど、カンパニー全員が今現在持ってるパワーを惜しみなく注ぐ作品になりそうですね。

丹宗:はい。各々、細部にこだわっているほか、脚本もさらに手を入れています。多方からクオリティを高めているので観れば楽しめること間違いありませんし、ストーリーには自分と重なる部分がきっとあるので、作品を通して自分の心にも触れられるはずです。ぜひ公演を観に、たくさんの方にきていただきたいですね。


    公演、楽しみにしています! 今日はありがとうございました。




次回公演
 

陽なた
『ちっぽけなタイヨウ』
日程 > 11/11(火)~16(日)
TEL. > 080-4352-5779(project hip)
公演詳細 > 公式HP

  11/11 12 13 14 15 16
13:00    
15:00            
16:00        
17:00          
19:00  



 

 
  > d-倉庫 ホームページ