Special Interview Vol.001 
★作・演出のナカヤマカズコさんのインタビューです。

Q:今回の「しびれものがたり」のテーマを教えてください。

ナカヤマ:「感覚と感情は結びついている」「つらいことに耐えられなくなった私たちは、いつのまにか自分で感じることを拒否し始めている」おおまかに言うと、この二つがこの作品のテーマです。

Q:再演のきっかけを教えてください。

ナカヤマ:初演自体はおととしの秋でしたが、去年、社会現象などでそれを実感する出来事が続いたので、あらためて再演してみよう、と考えたのがきっかけです。

Q:極めて今日的なテーマである、とお考えなんですね?

ナカヤマ:はい。去年の末、日本劇作家協会の新人戯曲賞を受賞したのも、このテーマというか着想を評価していただいたのだと思っています。



Q:受賞すると思っておられましたか?

ナカヤマ:いいえ。SF戯曲は評価されにくい気がしたし、いつもどおりとにかく楽しんで楽しんで書いた台本なので、そんなものが選ばれるはずないと思っていました。最終選考に選ばれただけでも「奇跡」だと。だから紀伊國屋ホールの公開審査会で受賞が決まった時には驚き過ぎて微熱が出てしまったくらいです。そのまま受賞パーティだったのですが、かなり後悔しました。リハーサル後のボサボサ頭に文字通り「着の身着のまま」で行ってしまって……最終選考で残った二人の女性はワンピースとかきちんと服装を整えてこられていて……ちょっと恥ずかしかった……。

Q:公開審査会の様子はいかがでしたか?

ナカヤマ:川村毅さんが司会も兼任しておられて、鴻上さん、斎藤憐さん、坂手さん、佃さん、土田さん、横内さんが審査員。
「しびれものがたり」についてはアイディアに関しては皆さんに推していただきましたが、ラストシーン近くの展開や物語の設定などについては評価が分かれました。受賞の決め手となった川村さん、鴻上さん、斎藤さん、坂手さんの言葉にも勇気付けられましたが、他の作品を推されていた審査員の方々の意見も非常に参考になりました。弱点などをいろいろ指摘されまして……先輩方の言葉は一生の宝物にしようと思っています。

Q:チラシに大幅に改訂、と書いてありましたが、初演とはどんな風に違うのでしょうか?

ナカヤマ:初演は「寓話」である、というところにこだわって、台本を書いたし、演出しました。舞台も近未来の架空の街にしました。その時は現代的なテーマを「置き換えて」描くことに意義を感じていました。

しかし、今回はあえて「おとぎ話」から離れました。「現代の現象を現代の『生のドラマ』として描こう」と考えたのです。書き直してみると、実に生臭い物語だと分かって、自分でも意外でした。

Q:今回の「しびれものがたり」見どころを教えてください。

ナカヤマ:「感覚」「感情」「感じることを恐れる私たち自身」という刺激的なモティーフと「男と女」「親子」を描く生臭い人間ドラマが見どころです。

それに生演奏による音楽も。今回はグランドハープの生演奏を使用します。ハープというと優雅な楽器というイメージですが、多種多様な表現が可能な実に面白い楽器です。

物語と情感あふれる旋律が絡み合う濃密な舞台空間、ぜひご期待ください。

Q:本日はありがとうございました。今後の活躍も楽しみにしております。


しずくまち♭
第14回日本劇作家協会 新人戯曲賞受賞作品 『しびれものがたり』
5月15日(金)~19日(火)
会場|d-倉庫

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