今回のインタビューは 陽なた のみなさん。
普段は帝国劇場や銀河劇場等、大舞台で活躍している現役のプロのミュージカル俳優たちが集まって結成されたミュージカル団体です。
歌、芝居、ダンスといった3本柱で構成されるミュージカルにおいて、「ミュージカルの本質は芝居である」という考えのもと、お客様に作品や感情をじっくり見てもらえるような作品づくりを心掛けています。派手でなくてもいいから、ショービズとはまた違うミュージカルの在り方を追求し、ミュージカルの新たな魅力をお客様に伝えるべく、ミュージカル団体でありながらも、あえて小劇場を中心に活動しています。
2010年1月の旗揚げ公演、ミュージカル『ちっぽけなタイヨウ』は大好評のうちに幕を閉じました。
それから約半年、ついに、待ちに待たれた2作品目ミュージカル『オリーブ』がここ日暮里d倉庫にて10月に上演されます。
今回は主宰の丹宗立峰さん、前回作品に参加の岡村さやかさん、高田亜矢子さん、今回初参加の二宮優樹さん、田宮華苗さんの5名に集まって頂き、意気込みや陽なたにまつわるお話を聞かさせて頂きました。
集まるなり、和やかな雰囲気で談笑が始まった皆さん。『陽なた』という団体名にぴったりの暖かいオーラを持ったかたばかりです。
和やかに談笑される陽なたのみなさん
そもそも、なぜ、『陽なた』という団体名になったのでしょうか?主宰の丹宗さんに聞いてみました。
丹宗さん「観に来て下さったお客様に、言葉じゃなくて心で感じてもらう作品を作りたくて。セリフや役者の動きを追って これはこういうお話だ、って頭で明快に理解してもらうのではなく、うまく言葉にはできなくても、お客様一人ひとりの心になにかが残るような、心に直接響いていくような作品が創りたかったんです。なので、お客様に、作品を観終わった後にあったかい気持ちになるような作品をずっとつくっていきたいという気持ちから、 暖かい→ひなたぼっこ→陽なた という連想で団体名を『陽なた』にしました。」
頭ではなく、心で感じて欲しい…。確かに、劇場の空間というのは、私たちの日常生活において、そのような経験ができる貴重な場かもしれません。ちなみに、今回初参加の田宮さんは、前作『ちっぽけなタイヨウ』を劇場でご覧になったようですが、その感想、いかがでしたか…?
田宮さん「観終わった後、すごく心が暖かくなりました。それも、ぽかぽかというよりは、じわーっという暖かさで…。なんだか言葉にできないけれど、いいなって思いました。あとは、作品の世界感が、見たことない感じで独特の世界感だなぁと…。役者としてもこの『陽なた』という団体にとても興味を持ちました。」
仲が良い田宮華苗さん(左)と高田亜矢子さん(右) 笑いが絶えない岡村さやかさん(左)と二宮優樹さん(右)
ちなみに、岡村さんと高田さんは前回出演者されていましたが、前回参加していかがでした?
高田さん「大変でした!(笑)だけど、楽しかったです。まず、小劇場でお芝居をしたことがなかったので、今までと全然違う感覚でお芝居や歌に臨んでいかなければならなくて、はじめはとても戸惑いました。けれど、次第にあの狭い空間で丹宗さんが伝えたい世界を、自分たちがつくりあげてお客様にみせられるっていう事がとても嬉しくなってきて。たくさん悩んだけれど、そのぶん、陽なたで得たものはとても大きいと今でも思っています!」
岡村さん「私は、最初は正直、楽しみより不安が多くて・・・。だけど、丹宗さんの信念にひっぱられるかたちで、とにかくやってみようと、丹宗さんを信じてみようと思ってやりました。今回も自分の課題や挑戦はたくさんありますが、この経験でしか得られないこともたくさんあるので、とにかくがんばりたいと思っています!」
皆さん、それぞれに熱い想いをもって陽なたに参加されているようです。
ちなみに、メンバーはどのような方たちで構成されているのですか?
丹宗さん「全員、プロのミュージカル俳優です。私自身と共演したことがある人も多いですが、顔は互いに知っていても共演したことは無い人もいます。演出家として私は、その人自身も気付いてない『なにか』を持っていそうな人にとても役者としての魅力を感じます。100%完成されてしまっている人ではなく、まだ発展途上の段階にいたり、人間として少しミステリアスというか謎な部分があるような、いろいろと想像をさせてくれる人たちと作品を創っていきたいと思っています。なので、毎回メンバーは皆さん忙しいなか、本当にわがままを言って、選りすぐりの役者さんばかりですし、本当に信頼できるメンバーばかりです。今回もこのようなメンバーと作品が創れることにとても感謝しています。」
メンバーの皆さんはプロのミュージカル俳優さんなのですね・・・!とても豪華です!また、メンバー選びの着眼点がまた、丹宗さん独特のものとのことで、これも陽なたの作品の世界感の大きな土台になっているのではないかと思います。
さて、そんな陽なたの主宰であり演出家の丹宗さんですが、メンバーの皆さんにとって丹宗さんはどのような方なのでしょうか。
陽なた主宰の丹宗立峰さん
田宮さん「私は、実は、役者の丹宗さんしか知らないので、今回はじめて演出家の丹宗さんとご一緒させて頂きます!なので、丹宗さんがどのような雰囲気でどのように稽古をするのかが、今からとても楽しみなんです!」
高田さん「ワンマンではなく、色々な案を柔軟にとりいれる演出家さんだと思います。今まで出逢ったことのないタイプの演出家さんだなと思っています。」
岡村さん「話をちゃんときいてくれる演出家さんだと思います。絶対に感情的にならないので安心して色々と自分を出しながらお芝居を創っていけるんです。陽なたは丹宗さんのやり方が、いわゆる舞台のつくっていきかた とは少し違うのでとてもやりがいがあります!」
丹宗さん「私は、自分は演出家という役目だけれども、自分を演出家だとはあまり思っていないんです。ただ、プロのお客だとはおもっています。だから、ワンマンで役者を引っ張っていくのではなく、役者が稽古場にもってくるものをプロのお客として判断していきたいと思うんです。というのも、ここに集まっているメンバーは私のなかで選りすぐりの役者だし、投げかけたら応えてくれる信頼できるメンバーだという、自信があるからです。」
丹宗さんがメンバーの皆さんをとても信頼している様子、そして、作品づくりへの熱い気持ちがビシビシと伝わってきます。これは本番が楽しみです・・・!
さて、今回初参加の二宮優樹さん、実はミュージカル以外にも、ものまねでも活躍されている多才な俳優さんです。今回陽なた初参加ですが、いかかですか。
笑顔が素敵な二宮優樹さん
二宮「今までもいくつかミュージカルに出演させてもらってきましたが、毎回ミュージカルって大変だと思いながら舞台に立っています(笑)。今回はご縁があって、陽なたに参加させて頂くのですが、今までとは違って小劇場なので、お客様との距離も近いですし、いつもの舞台と魅せ方も全然違うと思うので、自分のなかでのステップアップにつながるよう、がんばりたいと思っています。ものまねとミュージカルは、お客様に舞台を観て楽しんで頂くという根本は同じですが、その表現方法が全く違います。なので、ミュージカルのフィールドで少しずつ課題を克服してやり遂げていくことによって、新たな自分に出会えるのではないかと思い、日々稽古に臨んでいます。そうすることで、ものまね師としてもミュージカル俳優としても、より深く、魅力的な存在になりたいとおもっています。
素晴らしいですね・・・!この熱い想いがどのように舞台になるのか今からとても楽しみです。ちなみに、丹宗さん、今回の作品『オリーブ』のテーマは何ですか。
丹宗さん「テーマは『ぐちゃぐちゃ』『めちゃくちゃ』です。」
え、『ぐちゃぐちゃ』ですか!!?????
丹宗さん「はい、『ぐちゃぐちゃ』です(笑)。もちろん、ただのぐちゃぐちゃではなく、ぐちゃぐちゃのあと最後にポツンと大事なものが残るような、そんな『ぐちゃぐちゃ』を目指しています。いい意味で色々な枠だとか概念だとかを壊せたらなあ…と。なので、演出家として、定義に縛られず自分がおもうように自由に作品をつくっていきたいとおもっています。それが、『ミュージカルはこう』っていうものをいい意味で崩すことにつながっていったら…と思います。」
『ぐちゃぐちゃ』・・・。言葉だけ聞くとあまりいいイメージがないですが、丹宗さんのお話を聞いて納得しました!すでに陽なたの丹宗さんマジックは始まっているのかもしれません・・・!(笑)けれども、確かに、敢えてぐちゃぐちゃにするからこそ、そこではじめて見えてくる『何か』があるような気がします。そんなこんなで色々なお話をしえいるうちに、時間はあっという間にすぎ、名残惜しいですがそろそろお別れの時間が近付いてきたようです。
最後に今回の意気込みを一言ずつお願いします。
田宮さん「今回の目標は『新たな自分をみつけること』なんです。作品のテーマも『枠にとらわれずぐちゃぐちゃ』ということですし(!)、今までの自分の枠を超えて色々と挑戦していきたいと思います!」
二宮さん「ものまねではない自分で作品に正面から向き合っていきたいと思っています。精一杯戦っていきたいと思いますので、そんな自分を観に来て頂けたら・・・と思います。」
岡村さん「一番初めのライブのときはよくわからず気軽に参加していましたが(笑)、毎回新しい自分を見つけさせてくれる丹宗さんとひなたに今回もとても期待しています。自分の想像を超える経験が出来る場、それが陽なただと思っているので、今回も精一杯稽古に打ち込んでいきたいと思います。」
高田さん「私は歌がとても好きで、いつもすぐ歌にとらわれてしまうんです。だけど、陽なたは芝居重視のカンパニー。とても役者魂をゆすぶられる現場です。お芝居はまだまだ勉強中のところが多いですが、できることからまずひとつずつ積み上げて、新しい自分をみつけていきたいと思っています。」
丹宗さん「ミュージカルですが、芝居をほんとうに大切にしていきたいと思っています。もちろん歌もダンスも大切ですが、やはり、私はミュージカルでは一番お芝居を大切にするべきだと思うんです。自分の信じるものが合っているかどうかはわかりませんが、自分の思う世界を誠心誠意込めてお客様に伝えていきたいと思っています。」
やはり、ミュージカルのカンパニーでこんなにお芝居お芝居というカンパニーは本当にめずらしい気がします!そのぶん、どのような作品になるのか今からとても楽しみですね。
陽なたpresents『オリーブ』は、ここd倉庫で2010年10月19日(火)~24日(日)まで公演予定です。
今、話題のミュージカルカンパニーの最新作、どうぞお見逃しなく!
それでは陽なたのみなさん、本日はどうもありがとうございました。
|