あと一瞬で燃え尽きてしまうイメージとか。そういうのは後づけというか、周りがそう思ってくれればいいやみたいに考えていたんですけど、実際そういう風に思ってくれる人ってほとんどいませんね。その名前で何回も公演を繰り返して、名前と作風がなじんでくるんじゃないかと思っています。 旗揚げはいつですか? 1997年です。 ずっとお一人でやってきたんですか? 旗揚げからしばらくは一人だったんですが、途中で劇団員が出たり入ったりして。その頃は「劇団マグネシウムリボン」と名乗っていました。ちょっと字余りな感じですが。 劇団の作風を一言でいうとどんな感じですか? 旗揚げ作品が不条理な芝居だったんです。でも、一回だけでそういう芝居をやる団体と思われるのもなんだなと思って、その次に作った作品は青春群像劇でした。その次にやったのは野球ギャグ漫画みたいな芝居で、その次が人情喜劇です。だから、作った芝居から作風を定義すると、バラバラですね。バラバラなりにマグネシウムリボンっぽさという部分で通底していると思うんですけど、これが一言ではなかなか言い表せなくて、いつも困っています。 作品を作るにあたって気をつけていることはありますか? 台本を書く前に、キーワードを見つける作業をしています。 それはどういったものなんですか? 書いていく時に、作品の方向性がぶれないための指針になる言葉ですね。理屈じゃないので、芝居と全然関係のない言葉で良かったりもします。ほんとに直感的に思いついた言葉だったり。以前やった『掃除屋』という作品は、「ハードボイルド」がキーワードだったんですけど、台本を書き始めたばかりの段階では、なぜキーワードなのか自分でもよくわかってないんです。「掃除屋がハードボイルド? どうしたらそうなるんだ?」みたいな。でも、台本を書く時も、スタッフさんと打ち合わせる時も、稽古をする時も、常にそのキーワードを口にしながら作っていくと、作品が完成する段階になって、色々な部分にそのキーワードが通底してるのがわかってくるんです。芯になっているんだなあと。だから呪文のようなものかもしれませんね。
塚本さん、インタビューありがとうございました!
■■■ マグネシウムリボン 『顔と名前』 会場/d-倉庫