主宰の小野友梨香さんについて教えてください。 私は…プライドと劣等感の塊ですよ笑 矛盾してますけど笑 13歳の時、中学の隣のクラスのマドンナ的存在だった女の子がダンスしてるって知って、彼女に対する憧れだけで踊り始めました。はじめは親も反対で、レッスン代を弟の家庭教師代わりに自力で稼いだりしてましたね。でも上京した先の高校の名高いダンス部に入ってからは、「かっこいいダンス」でなく、「表現としてのダンス」と出逢い、もう無我夢中で踊り続けました。親元も離れてたので、自由奔放でしたしね。その時の顧問がまた毒舌で厳しい先生で。でも心底尊敬してました、勿論今でも。妥協を許さない表現活動への姿勢に感銘を受け、彼女の背中をひたすら追いかけていた気がします。彼女のその時の口癖が、「あなたたちはダンスが下手クソなんだから、アイディアで勝負するしかないんだ」で。落ち込みましたね~いや、その通りなんですけどね。それでまたがむしゃらに作品創作を続け…。その成果ってほどじゃないですけど、卒業前にぼそっと「この学年は粒揃いだった」って言われたことは今でも忘れられないくらい嬉しかったです。 まぁとにかく、その先生と過ごした3年間が今の私を形作ってるということです。大学に入ってからは舞台公演製作に没頭し、生の舞台の醍醐味に病み付きになりました。それからアメリカへ一年ダンス留学に行き、身体表現の新境地とその可能性に確信を持つようになり、帰国してカンパニー立ち上げに踏み切りました。 自分がよく不思議がられるのは、「出演するより振付することの方が好き」であること。私おしゃべりなんですけど、そのくせすごく不器用で、本当に伝えたい気持ちがなかなか素直に伝えられないんですよね。だから、そういうのを全てダンス作品にしちゃう。そうすれば、誰も傷つけず、一番ストレートに表現できるんです。それが伝わった時が…もう幸せそのものなんです。あとは、もしかしたらあの時「下手クソ」って顧問に言われたのをどこかで引きずってるのかもしれません。自分はやっぱり創るのが好きで、自分より優れたダンサーさんに踊ってもらえれば本望なんです。
では、「barebones」の魅力は何ですか? 「リアル」を追求していること、ですかね。人のあらゆる姿も認めたいと思ってる。その感覚を時間と空間を通してお客さんと共有したい。 今回自主公演をやろうと思ったきっかけは何ですか? 「barebones」メンバーはみんな公演大好きなんです笑 だからこの際一花咲かせよう!って。自分たちらしく。 今回の『未完成な東京タワー』の見どころを教えてください。 やっぱり「東京タワー」ですかね。様々な角度から捉えたそれを介して見える人と人との繋がり。全てを詩的にまとめあげているので、その抽象性から何か感じとってもらえたら、と思います。あとは、お客さんの一番しっくりくる繋がりに触れてもらえれば、幸いです。 ダンスの作品・公演を創る時にどのようなことを考えますか? 繰り返しになってしまいますが、やっぱり「リアルであること」。ダンサー自身も作品そのものも。私たちも気取らないからお客さんも片意地張らずに素直に楽しめる、そんな表現空間創りを目標としています。 演出する上で心掛けていること、または難しいことは何ですか? 私の善しとするものが皆さんの善しとするものになるようにすること。傲慢に聞こえると思うんですけど、それが演出の最大の務めかな、って思ってます。 今後の「barebones」の活動についてのビジョンなどを教えてください。 「barebonesを世界の共通言語にすること!」それを目指して、日々邁進していきたいと思います。まずやるべきことをやり、次にやりたいことをやる。そうすれば、気付いたら夢も現実になっているから。
小野さん、インタビューありがとうございました!
■■■ barebones 『未完成な東京タワー』 会場/d-倉庫