「劇団Birth」主宰の大久保慶さんにお聞きしました!


 まずは自己紹介をお願いします。
 

 劇団Birthの主宰/脚本/演出ををしている、大久保慶です。今日は、このような機会を頂き、ありがとうございます。嬉しいような照れ臭いような気分ですが、よろしくお願いします。





いつ頃から活動しているんでしょうか?また、劇団名を“Birth”とした由来を教えて下さい。

 
旗揚げが2003年ですので、もう10年くらいになりますね。早い(笑)。名前の由来ですが、日本語に訳すと“生まれる・誕生”などの意味を持つこの言葉が、僕等の原点に一番近いと思ったんです。誰かと接した時・向き合った時、必ず何らかの想いは生まれているじゃないですか。仮にそれが、あまり良い想いじゃなかったり、ほんの些細な想いであったにしても。そして、その“生まれた想い”を、相手にきちんと伝える。すると互いにまた新たな想いが生まれて・・・更にその想いは、違う誰かへと・・・。人生においても、舞台においても、そんな《生まれる想いの繋がり》を何より大切にしようと、「Birth」と命名しました。


劇団Birthにとって、舞台とは?

 
(笑)難しいですね~。正直あまり考えたことはありませんし、なかなか一言で“こう”とは言えないんですが・・・「人生そのもの」みたいなイメージは抱いています。賛否の問題ではなく、様々な生き様がそこにある・・・みたいな。なので、劇団Birthにとっての舞台とは、「生きる場」もしくは「命の場」・・・です!


なぜ舞台にこだわるのですか?

 
これも特に意識しているわけではないんですが、「生」であることに惹かれているのは確かです。何度公演をやっても「不完全」に終わりますから(笑)。もちろんそこに苛立ちもしますし、「くそ〜!」と叫びたくなることも多々(汗)。けど、だからこそ、また“次”をやるんでしょうね。終わりがなくて困ってます(笑)。あ、それともうひとつ。これはまた別の視点からの話ですが、“観て下さった方達の想い”が僕等を突き動かしてくれている気もします。つまらない、おもしろい、良かった、悪かった・・・観て下さった方達の数の分だけ想いが在り、その想いを貰った僕等が次にお答え出来る場は、やはり舞台ですから。ある種のこのコミュニケーションこそが、僕等が舞台を続けられる原動力になっていると。


稽古中に出演者同士が抱擁する時間があると聞きましたが、どういうことですか?

 
短い稽古期間の中で、描かれている人間関係になるのは、やはり並大抵のことじゃないですからね。例えば家族という設定であったら、何十年という年月を共に生きているわけで、きっと、もはや無意識の中で相手の匂いや温度みたいなものをわかっていると思うんです。もちろん抱擁だけでその全てが埋まるとは思っていませんが、その時間が、必ずどこかで何らかの助けになるので。・・・わかりにくくてすいません(汗)。





「本番終了後の打ち上げは盛り上がらない」ってホントですか?

 
(笑)盛り上がらないですね~。まずもって、劇団員は全員お酒があまり好きじゃないという・・・。よく、他団体さんの方達には珍しがられます。稽古中も、「飲みに行こうぜ!」じゃなく「お茶行こうぜ!」ですから(笑)。あと理由があるとすれば、多分「終わった」感じがしないからではないでしょうか?僕自身は役者ではないので、不確かな答えにはなってしまいますが・・・きっとそれぞれが役の人生を生きてきて、「はい、今日で終わり」とは、なかなかいかないんじゃないかと。役も一つの命。終わりはないですからね。


Birthにとっての芝居感を聞かせてください?

 
既に大分話させて頂いてしまった気はするんですが、やはり「生きる」ことです。出来れば「フリ」は無い方が。あと、「つもり」も嫌いです。「嘘」はもっと嫌いです(笑)。あ、こう言うと、よく誤解されてしまうんですが、僕の言う「嘘」というのは、心の話です。決して「ファンタジー=嘘」みたいなことを言っているわけではありません。僕が稽古中に一番大事にしているのは、役の関係性の育みと、“その時々の心の動きに正直であること”です。その結果うまくいかなくても、全然いいんです。だって、正直でいてくれさえすれば、その段階での役者さん自身の価値観と役の価値観の違いが発見出来るわけですから。そうすれば指摘も出来るし、役者さん自身も素直に気付けることが多くなりますしね。どうしても結果論を探しがちですが、"今出来る事プラス気付き”を繰り返していくことが大事だと思っています。その上で、役の価値観を身につけていく努力をひたすらする・・・という。それこそが、役の人生をしっかり歩むということなんじゃないかな、と。そしてそれに終わりはないと思っています。もちろん本番を迎えても。本番はゴールではなく、あくまで人生の途中ですから。だから、舞台上での気持ちの流れが、毎回同じになる必要もないと思っています。昨日よりも今日の方が、一日分多く役の人生を生きたわけですからね。あ、だからといって、「じゃあ昨日とは違う芝居をしよう」とか思われたら、まいっちゃいますけど(笑)。それこそお門違いです。ただただ、心の話・・・“役を生きる”を続けて欲しいだけです。





今の世の中に対して何か言いたい事はありますか?

 
そうですね~・・・きっといっぱいあるとは思います。でも、改めて考えると、今“これ”というのが浮かんでこないんですよね。多分なんですけど、最近の僕は、世の中っていうもの自体がなんなのかがよくわからなくなってしまっている気が・・・なんか、ちょっと遠い世界のことを指しているような言葉に感じてしまうというか・・・。幼い頃はもう少し、お隣さん・ご近所さん達が浮かぶような感覚でもあったんですけどね(笑)。なので、今は世の中に対して何かというより、自分への戒めの意味で思っている事を言わせて下さい。それは、世界で起こっている全てのことは、自分と決して無関係ではないんだろうな〜ということです。正しいことも、間違っていることも、楽しいことも、悲しいことも。僕は生まれてきてから今日まで、たくさんの人と出会っていて、その一人一人が更にたくさんの人と出会ってる。更にその一人一人が・・・なんて考えると、直接会ったことはなくとも、かなりの人達と無関係ではないんじゃないかと。そう思いながら、ニュースを見るようにしています。


今後の劇団Birthはどうなる?

 
変な自信なんですが、“在り続ける”ような気はしています。少なくとも、僕が生きているうちは、無くなりようがないので(笑)。これは自慢というか、自負しているんですが、劇団員に恵まれているなと。ほんと、家族そのものといった感じなんです。ただ、舞台の方向性やらスタイル・アプローチの仕方に関しては、変わっていく部分もいっぱいあるでしょう。現段階で特にこうしたいというのはないんですが、何か新たな思いが生まれた際には、素直にその気持ちに従いたいと思っています。


最後に、今回の「第13回公演 《Let's ビンボー!!》」についての意気込みを聞かせてください。

 
貧乏は嫌ですよね~。僕も出来ればリッチになりたい(笑)。けど、貧乏ゆえのエネルギーみたいなものもあると思うんです。そして、そのエネルギーっていうのは、もしかしたら本来誰もが持っているような、「見栄や飾りのないやさしさ」みたいなものなんじゃないかな・・・と。なので、僕等も見栄を張らずに、邁進していきたいと思っております。今日は、貴重なお時間を頂き、ありがとうございました!


大久保慶さん、インタビューありがとうございました!





■ 劇団Birth
『Let' s ビンボ~!』 会場/d-倉庫


【タイムテーブル】
2012年5
30日(水)
31日(木)
6月1日(金)
6月2日(土)
6月3日(日)
12:30
野々宮家
14:00
野々宮家
小宮山家
17:00
小宮山家
19:00
野々宮家
小宮山家
小宮山家
野々宮家


【チケット料金】
前売一般 ¥3,500 当日¥3,800(日時指定・全席自由)
小学生以下 ¥2,000 (前売り・当日共通)
【チケット取り扱い・お問い合わせ】

劇団携帯 / 090-2148-2348
E-mail / customer@tac-birth.com

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