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 一般に前衛という言葉が一つのカテゴリを指すようになって久しいと思う。
そもそも前衛(avant-garde)という言葉はフランス語で前衛部隊を指す語であり、芸術の文脈において、あるいは文化の発展においては“最先端に立つ”芸術家たちを指したものだった。つまり前衛等は既存価値体系に依拠せず、それを徹底的に疑い、新しい独自の価値観・世界観を提示するものたちの活動を指するものなのだ。畢竟、人生の幸不幸など様々な価値観を測るにあたって分り易い既存の「物語」のみを以て生成され、且つそれを補完するだけのアートは、決して前衛ではないことになる。それがいかに、所謂“前衛っぽい”様相をしていてもだ。人々が理解に苦しみ、首をかしげ、そして多くの人々に“分らない”といわれてしまうものの中にこそ、真の前衛芸術はある。
ただここで一点、私は留保をつけたい。少なくとも、shelfと私の行っている活動についていえば、“分らない”を初めから目指す(他者の理解を拒絶する)もの、若しくはただ観客をして“分らない”場所に帰着させてしまうだけの独り善がりな表現は、それは決して前衛ではないと思う。
前衛の前衛たる所以は、それが他でもない“最先端に立つ”ものであり、それ故に、先人たちが血と汗を流して作ってきた道に対し、敬意を持って行われなければならぬ、人類の歴史を踏まえた営為であると考えるからである。
前衛とは謂わば姿勢である。そしてまたそれは、まだ見ぬ(内なる他者を含めた)他者との相互理解を得るためのコミュニケーションの方途である。我々shelfはその意味で、自ら真の前衛芸術足らんと欲し、粛々と活動を行っている。


©MariHARAD

矢野靖人ー現代演劇カンパニーshelfの演出家、代表。日本の伝統的な語り(Narattive)を援用し、西洋古典劇や日本近代劇を独自のスタイルで現代演劇にアップデートすることを試み続けている。名古屋市民芸術祭審査委員特別賞、名古屋市民芸術祭賞など、受賞。
■shelf volume14 [edit] 3月9日(土)~11日(月)
@七ツ寺共同スタジオ(名古屋) 
詳細は、http://theatre-shelf.org