私はすこやかクラブというパフォーマンスカンパニーを主宰しています。
すこやかクラブは身体表現や踊りなどを取り入れた、元気でアクティブなパフォーマンスとちょっとシュールな笑いがミックスされた作風が持ち味の団体です。
そんなすこやかクラブの長である私ですが、私自身はあまりすこやかではありません。
胃腸が弱いので豪華な食事を食べすぎるとお腹が痛くなって夜眠れなくなりますし、献血に行ったら血の中のヘモグロビンが足りないので採血できないといつも断られますし、坂道を上るとすぐに息が切れますし、身体の機能もどんどん衰えていってますし、いつか自分もみんなも死んじゃうのかと思うと悲しい気持ちになりますし、もう生きてるだけで踏んだり蹴ったりでへっぽこぴーな毎日です。
そんな私の作品創作の源となっているのは「すこやかな人間になりたい!」という想いです。
“すこやか”と聞くと明るく前向きで健康な感じのイメージが浮かんでくるかと思いますが、私の考えるすこやかはちょっと違います。つらかったり、落ち込んだり、なんにもうまくいかないダメダメな自分でも、それはそれでいいじゃない。いい時も悪い時も、どんな自分でもやさしく肯定できる。それが私の考えるすこやかな状態です。
現在すこやかクラブは本公演の他に、たちかわ創造舎という廃校になった小学校で演劇イベント「怪奇クラブ」を毎年夏に開催しています。観客は教室や職員室、校庭などで行われる様々なパフォーマンスをツアーガイドに案内され見て回ります。怪奇クラブでは、エセ・スピリチュアル身体測定を体験できる“スピリチュアル保健室”やトイレでうんこにまつわるすごろくをする“うんこすごろく”などの観客参加型のインスタレーションを組み込むなど、演劇作品を上演するという枠にとどまらない作品創作に挑戦してきました。
また、定期的に開催していた主催イベントではお客様にいただいたお題からその場で作品をつくってみる“即興演出講座”なるコーナーを設け、演出家、パフォーマー、観客の境界線を越えて時間を共有する体験を提供してきました。
このように様々な試みを行う中で、最近、いわゆる演劇公演と言われるような形式は私にとってベストな表現手法ではないのではないか?と感じるようになりました。
今後は私にとってのベストな表現形式がどんなものであるのか、模索しつつ、すこやかな人間になるべく、日々創作していきたいと思っている今日この頃です。
すこやかクラブ
2011年に立ち上げ。日常に潜むときめきや不条理をあらゆる身体動作で表現。
演劇、ダンス、歌、分け隔てなく取り入れて、総合格闘技さながらにボディーブローを効かせるのが持ち味。立川市にある旧校舎を活用した文化施設たちかわ創舎を製作拠点に活動中。
次回公演
すこやかクラブ タイトル未定
2020年2月下旬〜3月上旬@横浜(予定)
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