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西沙織   
「削ぎ落とすことでスタイルをつくる」

©Takayuki Kura



   ー私は情報に支配される現代社会で取捨選択が自らではなく委ねられているのではないかと問題提起する。ー
 これは先日行われた私が主宰するカンパニー『茎』の新作"less is more"の創作に当たって執筆させて頂きます。
 『茎』では日常生活でふと思った事や体験を作品に表しています。身体はまず置いておき、現代社会をテーマに掲げた。東京で生きる人たちは欲望に溢れている。自ら全て手に取れる環境に置かれ、多忙な日々を送り幸せを感じ、時に自分を苦しめる人もいるだろう。近年ではSNSに左右され必要な情報を見失い、流れに乗るばかりで自己選択が困難であると思った。それは個人の責任ではなく社会に動かされているのだ。そんな世界を私は閉鎖された空間にいるようだと思った。"一つ一つ大切に手に取ることが出来れば感覚は研ぎ澄まされる。"
 身体で表すと手を身体に近づけるだけで身体の温かさがわかる。そして手で身体をスキャンするようになぞれば自分の身体の形や動きが見えて認識することができる。沢山の情報が目に入ってくると身体への伝達は正確なものではなくなる。身体は内部の状況によって動きが変わる。自分の身体を見つめ身体と会話することによって踊りが生かされ、生活や自然から得たインスピレーションで作品は生まれていく。それは表面的な部分ではなく内側からみえる動きに私は面白さを感じました。一人一人が違った性質を持つ。それは居場所や習慣、性格が時間をコントロールする。
 そして作品が観客を導き、観客が自ら声に出す=自分の声に耳を傾ける。そこで私は極限の踊らない、舞台に誰も立たない。音だけが観客を包み込む1分間が私の強いメッセージでした。そして観る人の魂を撼わすことが私のダンスの在り方だと思いました。





西沙織
2013年まで関西しを拠点に国内外問わずクラブイベントや舞台、コンテストに出場するなどユニットを組んで活動。2014年以降コンテンポラリーダンスと出逢い映像制作や突発的な海外でのパフォーマンス、様々なアーティストとコラボレーションを行う。昨年ダンスカンパニー『茎』を立ち上げ身体の模索や肉体的美を追求し観る人の心に潜み混み現代社会における問題などを作品にし発信している。ダンスがみたい!新人シリーズ17にオーディエンス賞受賞。>
次回公演
未定