現在、「artissue」は編集部の自費のみで運営・発行しています。まだ始まったばかりで試行錯誤の段階ですが、応援して下さる皆様からのカンパをお願い致します。集まったカンパは今後の運営資金として大切に使わせて頂きます。
これからも「前衛」の魅力について多くの方に紹介していきたいと思っています。いくらでも構いませんのでご支援のほど宜しくお願い致します。誌面広告も募集しています。

・振込先:
郵便振替 00130-9-359857「artissue」
※備考欄にカンパとご明記下さい。

・他行からの振込 
ゆうちょ銀行 019 当座 0359857
   
 
 


櫻井拓見 chon-muop 演出家  
「前衛芸術が更新するもの」

  「前衛」「前衛芸術」という言葉を前にすると、どこかしら身構えてしまう自分がいます。

   それは、「昔はよかった」的な懐古趣味やノスタルジイに話題が回収されてしまう可能性への抵抗感もありますし、「それっぽく」着飾った言葉に対する思考停止への怖れもあります。 また、固定観念を破壊するという固定観念に縛られてしまっているのではないかという矛盾も少なからず感じられるし、何より、いま現在、例えば2014年の日本において、「前衛」ないし「前衛芸術」が果たして成立するのかという強い疑いを払拭できないからです。

   アップデート、バージョンアップ、更新、といったような言葉が、日常的に使われるようになりました。「●●、バージョンアップした?」とか「昨日、××更新したよ」という会話は、冷静に考えるとちょっと間が抜けているようにも感じるのですが、ともかくも、私たちは様々なレイヤーにおいて日々を「更新」しています。 その「更新」の速度、拡がり、重なりは、後世に多大な影響を及ぼした「前衛芸術」が台頭した頃の世相とは比べものにならないと思うのです。

   仮に、これまで前衛芸術と呼ばれたものが何がしかを「更新」するものであったならば、「いまの」前衛芸術は「何を」更新するのだろう。

   時代を?世界を?アートシーンを??

   エンタメ、サブカルで括られるような活動はさておき、先鋭的なある幾人かのアーティストたちに、かつての「前衛」の精神性が受け継がれていることには疑いを持ちません。 されど、多種多様な層で覆われ、情報に満ち溢れたこの現在の世界に立ち向かうにあたり、その精神性が単に表現活動へのある種の自衛=保険として機能していないかどうかには、自分自身のことも含め、常に批判的でありたいと思っています。




櫻井拓見 Takumi Sakurai chon-muop
(チョンモップ)演出家、トリのマーク(通称)所属俳優。

次回公演
Webにて随時公開。
chon-muop HP
http://www.chon-muop.com





[artissue FREEPAPER]

artissue No.003
Published:2014/09
2014年9月発行 第3号
演出家インタビュー
INTERVIEW1 流山児祥 流山児★事務所
INTERVIEW2 J・A・シーザー 実験演劇室◎万有引力


 
「戦後アメリカ前衛演劇の軌跡」 戸谷陽子
「Cui?公演から見えてくる母性の欠如」 水牛健太郎
「時事問題の取り扱い方」 藤原央登

 
「前衛芸術が更新するもの」 櫻井拓見 / chon-muop
「裸の理論武装」 カワムラアツノリ / 初期型